ピルの効果や副作用は?作用や種類についても解説


低用量ピルは、避妊・月経困難症PMS(月経前症候群)の改善が期待できる薬です。

▼ピルの基本情報

効果
▼詳細
避妊
月経困難症とPMSの改善
副作用
▼詳細
吐き気・頭痛・腹痛など
種類
▼詳細
8種類

月経困難症・PMSは、生理に伴って起こる腹痛・頭痛・気持ち悪さ・情緒不安定などの症状を指します。

低用量ピルには、嬉しい効果が多い一方、吐き気・頭痛・腹痛などの副作用が起こることもあります。

今回の記事では、低用量ピルの効果や副作用の対処法のほか、種類別のメリット・デメリットを紹介します。

※この記事はPRを含みますが、消費者庁国民生活センター厚生労働省の発信する情報、OC・LEPガイドライン2020年度版を基に作成しています。

低用量ピル(避妊用ピル)とは

低用量ピルとは、排卵や生理をコントロールできる薬のことです。

主成分は、2種類の女性ホルモン「黄体ホルモン」と「卵胞ホルモン」。

2種類の女性ホルモンは、人間の体内でも分泌されている物質です。

妊娠の準備を整えたり、生理を起こしたりできるのは、女性の身体が分泌するホルモン量を大きく変動させているから。

低用量ピルを服用すると、分泌されるホルモン量が減り、体内ホルモンバランスの変動が小さくなります。

その結果、排卵や子宮内膜の増殖が抑制されて、避妊や生理痛の緩和などの効果が得られるのです。

低用量ピル(経口避妊薬)の効果

低用量ピルの効果は、避妊・月経困難症とPMS(月経前症候群)の緩和などです。

効果が現れる時期は、ピルを飲み始めるタイミングや目的により異なります。

効果避妊>>
月経困難症とPMSの改善>>
効果が
出る時期の
目安
【避妊】
服用初日から
【月経困難症とPMSの改善】
約1か月後

低用量ピルの効果1.避妊

低用量ピルの主な効果として、避妊(妊娠の予防)が挙げられます。

低用量ピルで避妊できるのは、排卵の抑制・受精卵の着床の阻止・子宮内への精子の侵入の阻止が起こるため。

なお、低用量ピルを毎日決まった時間に正しく服用した場合の避妊率は、99%です。

ピル避妊率
正しく服用99.7%
飲み忘れあり91%

飲み忘れがあると、低用量ピルの避妊率は下がります。

もしもピルを飲み忘れた場合は、1日に2錠のピルを服用しましょう。

まずは飲み忘れに気付いた時点ですぐに1錠を飲み、普段飲んでいる時間にもピルを追加で飲んでくださいね。

低用量ピルの効果2.月経困難症とPMSの緩和

低用量ピルを服用すれば、月経困難症とPMS(月経前症候群)の緩和も期待できます。

月経困難症とPMSは、生理前や生理中に起こる腹痛や情緒不安定などの不快な症状のこと。

生理に伴い不調が起こるのは、厚くなった子宮内膜(赤ちゃんのベッドとなる組織)を外に押し出す力が働いたり、ホルモンバランスが大きく変動したりするためです。

▼ 月経困難症とPMSの症状

  • 生理痛や腰痛
  • 気持ち悪さや吐き気
  • うつやイライラ感
  • 疲れや脱力感

低用量ピルを飲むと、赤ちゃんのベッドとなる「子宮内膜」が薄く保たれ、ホルモンの変動も小さく抑えられます。

その結果、生理が軽くなり、腹痛や情緒不安定なども起こりにくくなるのです。

なお、低用量ピルを飲むと生理は軽くなりますが、完全に止まることはありません。

ピルの効果はいつから?避妊できる時期

低用量ピルは、生理初日に飲み始めると、服用の初日から避妊効果が期待できます。

飲み始めのタイミングによって、避妊効果が出る時期は異なりますよ。

▼効果が出る時期の目安

飲み始めの
タイミング
避妊効果が
出る時期
生理の初日ピルの服用を
始めた日
その他7日連続で
服用できた日

参考:秋田県産婦人科学会・医会

避妊の効果は飲み始めてすぐに期待できますが、月経困難症の効果が出るまでには、服用を開始してから1か月ほどかかります。

生理に伴う不調を改善するためには、「効果が出ない」と焦らずに、服用を続けることが大切ですよ。

ピル服用をやめた後の効果は?

低用量ピルの副作用|飲み始めに起こりやすい

低用量ピルを服用すると、吐き気・頭痛・腹痛などの副作用が起こる可能性があります。

副作用の程度や現れ方には個人差がありますが、飲み始めて3か月間は症状が出やすい時期です。

主な副作用
詳細
血栓症
吐き気・頭痛
腹痛・眠気
副作用が
現れやすい
時期
詳細
飲み始めから3か月間
副作用の
対策
詳細
痛み止めや吐き気止めを服用
ピルを就寝前に服用
低用量ピルの種類を変更

低用量ピルの主な副作用|腹痛や吐き気など

低用量ピルの主な副作用は、吐き気・頭痛・腹痛などです。

副作用は必ず起こるわけではなく、発現率は症状により異なります。

低用量ピルの1つである、マーベロンの副作用の発現率を参考に見てみましょう。

副作用発現率
悪心(気持ち悪さ)
頭痛・胸の痛み
5%以上
嘔吐・腹痛
めまい・眠気
倦怠感(だるさ)
0.1〜5%未満
イライラ感
脱毛
頻度不明

発疹・むくみ・動悸などの症状が起こるケースもあります。

低用量ピルを飲み始めて現れた体調の変化は、副作用の可能性が高いです。

なお、手足のしびれや胸の痛みといった症状が出た場合は血栓症の可能性があるため、必ず医師へ相談しましょう。

血栓症とは

低用量ピルの副作用はいつから出る?

低用量ピルの副作用は、服用を開始してから3か月間の期間に現れやすい傾向があります。

飲み始めに副作用が起こりやすい原因は、女性ホルモンの一時的な変化に、身体が慣れていないから。

低用量ピルを飲み続けてホルモンの変化に身体が慣れれば副作用は治まるため、自己判断で服用を中止せずに3か月間ほど様子を見ましょう。

低用量ピルの副作用対策

副作用がひどい時は、痛み止め・吐き気止めなどを使用するのがおすすめです。

副作用対策
吐き気吐き気止めを服用
食後にピルを服用
頭痛痛み止めを服用
眠気就寝前にピルを服用
イライラ感や
うつなど
気分の不調
漢方薬を服用
むくみ塩分やアルコールを控える
ビタミンやカリウムを摂る
漢方薬や利尿剤を服用

3か月ほど経っても症状が落ち着かないときは、ピルの種類の変更を検討しましょう。

副作用の症状を和らげる薬の処方や、ピルを服用する時間・種類の変更を希望する場合は、医師に相談しましょう。

なお、副作用の症状を和らげる薬は、市販でも購入できるため、薬局やドラッグストアで相談するのも1つの手です。

【種類別】低用量ピルのメリット・デメリット

低用量ピルは、第1世代・第2世代・第3世代の3種類に分けられます。

各世代の違いは、含まれている有効成分「黄体ホルモン(女性ホルモン)」の種類です。

世代黄体ホルモンの種類
第1世代ノルエチステロン
第2世代レボノルゲストレル
第3世代デソゲストレル

含まれている黄体ホルモンの種類(世代)が違うと、効果や副作用の出方が変わります。

各世代にそれぞれメリット・デメリットがあるため、悩みや要望に合った種類の低用量ピルを選ぶことが大切です。

第1世代

第1世代の低用量ピルとして、「シンフェーズ」「ルナベルLD」「フリウェルLD」が挙げられます。

メリット出血量を減らす
生理痛を緩和する
デメリット不正出血が起こりやすい

第1世代の低用量ピルは、月経困難症や子宮内膜症の治療に使われることが多い低用量ピルです。

出血量が多い方や生理痛がひどい方は、第1世代の低用量ピルを検討してみましょう。

第2世代

第2世代の低用量ピルとして、「アンジュ」「トリキュラー」「ラベルフィーユ」が挙げられます。

メリット不正出血が起こりにくい
生理周期が安定しやすい
デメリットニキビができやすい

第2世代の低用量ピルは、生理不順の方や避妊目的でピルを服用する方におすすめです。

ニキビや肌荒れが気になる方は、第3世代の低用量ピルを選びましょう。

第3世代

第3世代の低用量ピルとして、「マーベロン」「ファボワール」が挙げられます。

メリットニキビができにくい
胸の張りが起こりにくい
体重の変動が起こりにくい
デメリット血栓症のリスクが高い

第3世代の低用量ピルは、ニキビや肌荒れに悩んでいる方におすすめします。

低用量ピルの効果や副作用に関するQ&A

Q.低用量ピルを飲み続けるリスク(危険性)は?身体への影響や後遺症はある?

低用量ピルを飲み続けても、身体への影響や後遺症などのリスクはありません。

また、低用量ピルの服用の有無や期間の長さは、妊娠率に影響を及ぼさないことがわかっています。

そのため、将来妊娠を希望している方でも、低用量ピルは問題なく服用できますよ。

Q.低用量ピルの副作用は怖い?血栓症とは?

低用量ピルの副作用の中でも怖い症状として挙げられる血栓症は、血のかたまりが血管の中にできて、詰まってしまう病気のことです。

血栓症の発症率は低いため、過度に恐れる必要はありません。

低用量ピル
服用
血栓症リスク
年間10,000人のうち
なし1〜5人
あり3〜9人

低用量ピルを服用していない場合でも、血栓症が発症する可能性はあります。

しかし、発症すると脳梗塞や心筋梗塞の原因になるので、万が一に備えて症状や対策を知っておきましょう。

なお、ピルを飲みはじめて4か月以内は、血栓症が起こりやすいため、症状が出ていないか意識して確認しましょう。

もしも症状が出た場合は、すぐにピル処方を受けたクリニックに相談してください。

Q.低用量ピルの副作用が出やすい人は?

低用量ピルの副作用である、血栓症の発症リスクが高い人は、喫煙の習慣がある人や高血圧の人などです。

血栓症のリスクが高い場合、低用量ピルの処方を受けることはできません。

▼低用量ピルを服用できない人

  • 重度の高血圧
  • 50歳以上
  • 閉経している
  • 前兆を伴う片頭痛がある
  • 血栓症にかかったことがある
  • 35歳以上で1日15本以上タバコを吸う

なお、クリニックによっては、血栓症リスクが高い人でも服用できる経口避妊薬(ミニピル)を取り扱っていることがあります。

もしも低用量ピルの処方を断られたら、ミニピルの取り扱いがないか確認してみましょう。

Q.低用量ピルの服用をやめた後の効果は?

低用量ピルの服用をやめた後は、すぐに避妊や生理痛などを緩和する効果がなくなります。

ピルの効果は、服用している期間のみ継続するため、服用をやめると服用前の状態に戻ることがほとんど。

また、症状が落ち着いたからと服用をやめると、月経困難症やPMSの症状が再発するため、妊娠を希望するまでは飲み続けるのがおすすめです。

Q.低用量ピルの副作用で頭痛や熱が出る際はロキソニンを併用しても良い?

低用量ピルは、ロキソニンと併用できます。

なお、「アセトアミノフェン」が含まれる頭痛薬や解熱剤は、ピルの副作用が出やすくなるため、併用を控えるのがおすすめです。

併用
できる薬
ロキソニン
イブA
バファリンA
併用を
控えたい薬
バファリンルナ
カロナールA
セデス・ハイ

薬局で薬を買う際は、店内にいる薬剤師に相談すると、ピルと併用できる頭痛薬や解熱剤を教えてもらえますよ。

Q.低用量ピルを服用すると胸が大きくなる?

低用量ピルの主成分である女性ホルモンの影響で胸が張り、一時的にバストアップしたと感じることがあります。

しかし、胸の張りは一時的なものであるため、ほとんどの場合は、元のサイズに戻ります。

なお、バストアップ目的で低用量ピルを服用することはできません。

Q.低用量ピルの副作用で太るって本当?空腹感も出る?

低用量ピルには、むくみ・食欲の増進・空腹感などの副作用があるため、一時的に体重が増加する可能性が考えられます。

しかし、低用量ピル自体に脂肪を増やす作用はありません。

低用量ピルを飲み続けるうちに、むくみ・食欲の増進・空腹感などの副作用は改善して、体重も元に戻りますよ。

低用量ピルは期待できる効果が多く、副作用の対策も可能

低用量ピルは、避妊や月経困難症・PMSの改善など、期待できる効果が多い薬です。

一方で、吐き気・頭痛・腹痛などの副作用が起こる可能性もあります。

副作用は飲み始めに起こることが多く、服用を続けると落ち着く傾向があるため、頭痛薬や吐き気止めも使いながらピルを継続することが大切です。

▼低用量ピルの基本情報

効果避妊
月経困難症とPMSの改善
効果が
出る時期の
目安
【避妊】
服用初日から
【月経困難症とPMSの改善】
約1か月後
副作用吐き気・頭痛・腹痛
副作用が
現れやすい
期間
服用開始から3か月間

低用量ピルは、病院だけでなくオンライン・ピル処方でも入手できます。

オンラインピル処方とは、電話やチャットで医師の診察を受けると、自宅にピルを郵送してくれるサービスのこと。

ピルの定期便やまとめ買いにも対応しているため、忙しくて病院へ通う時間が取りにくい方にぴったりですよ。

オンライン・ピル処方サービスを詳しく見る

※医師の判断によってはお薬を処方できない場合があります。

▼未承認医薬品等異なる目的での使用
低用量ピル(避妊用)は、医薬品医療機器等法において、生理周期の安定/生理痛やPMSの改善/ニキビの改善/経血量の減少の効果の承認を受けていません。また、低用量ピル(月経困難症用)は、避妊/ニキビの改善/経血量の減少の効果の承認を受けていません。
▼入手経路等
国内医薬品販売代理店経由
▼国内の承認医薬品等の有無
掲載したピルと同一成分で生理周期の安定/生理痛やPMSの改善/ニキビの改善/経血量の減少/避妊の効果を有する他の国内承認医薬品等はありません。
▼諸外国における安全性等に係る情報
悪心、頭痛、吐き気 、不正出血 、乳房の張り等のリスクがあります。
▼医薬品副作用被害救済制度について
万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。