
フリウェルLDとフリウェルULDは、生理に伴って生じる不調(月経困難症)を改善するために開発されたピルです。
生理中の腹痛や腰痛、情緒不安定、だるさ、疲労感などを緩和するほか、生理の経血量が減ったり、生理周期が整ったりなどの効果も見込めます。
また、副効果として避妊効果も期待できるため、正しく服用していれば妊娠することはほとんどありません。
▼この記事でわかること
フリウェルの 効果は? | 主効果:月経困難症 副効果:避妊(排卵抑制) >>詳しく見る |
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フリウェルの 妊娠率は? | 100人中1~3人 >>詳しく見る |
避妊効果は いつから? | 服用を開始した日から※ >>詳しく見る |
※生理の初日に飲み始めた場合
【結論】フリウェルULD/LDは避妊効果が期待できる
フリウェルLDとフリウェルULDには、理屈上、一定の避妊効果が期待できます。
避妊効果が見込めるのは、フリウェルに「排卵抑制」の作用があるためです。
フリウェルは排卵を一時的に止めることで、子宮内膜の増殖を防ぎ、生理に伴う不調を軽減します。

フリウェルの避妊効果は、「パール指数」と呼ばれる数値で示されます。
パール指数とは、特定の方法で避妊した100名の女性が妊娠する件数を示す数値です。
フリウェルLDは0.19と妊娠確率がほとんどないのに対し、フリウェルULDは2.98で1年間に妊娠する件数は約3件と妊娠率は高めです。

フリウェルLD(低用量ピル)の避妊率:99%以上

低用量ピル「フリウェルLD」の避妊率は、理屈上99%以上です。
毎日決まった時間に飲み忘れなく服用していれば、妊娠する確率はほとんどありません。
なお、日本で過去に発売されていたフリウェルと同じ成分の低用量ピル※は、避妊率が99.4%だと報告されています。
成分が同じ薬は効果も大きく変わらないため、フリウェルの避妊率も99.4%に近い数値だと判断できるでしょう。
【注意事項】フリウェルLDは、生理中の不快な症状を軽減する目的に開発されたピルです。日本で避妊効果の承認は得ておらず、妊娠を防ぐ目的で処方を受けることはできません。
フリウェルULD(超低用量ピル)の避妊率

フリウェルULDのパール指数は2.98なので、服用していても妊娠することがあります。
パール指数とは、特定の方法で避妊した100名の女性が妊娠する件数のことです。
フリウェルULDを飲んでいても、1年間に100件中3件程度の確率で妊娠してしまいます。
▼避妊法と妊娠確率
フリウェルLD | 0.19 |
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フリウェルULD | 2.98 |
低用量ピル (避妊用) | 0.3 |
コンドーム | 2~15 |
避妊なし | 85 |
フリウェルULDもほかのピルと同様に、排卵を防ぐ作用があります。
しかし、配合されている有効成分の量が少なく、ほかのピルよりも作用が控えめです。
作用が弱いと、服用中に排卵が起こってしまうことがあるため、避妊目的で飲むのには向いていません。
「フリウェルには避妊効果がない」と言われるのはなぜ?
「フリウェルには避妊効果がない」と言われるのは、避妊目的での処方が認められていないためです。
日本ではOC(経口避妊薬)とLEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤)、2種類の低用量ピルが流通しています。
フリウェルLDとフリウェルULDは、どちらもLEPに該当するピルです。

*月経困難症:生理痛・だるさ・下痢・便秘・イライラ感など、生理直前〜生理中にかけて現れる不快な症状の総称
避妊用に作られた低用量ピル(OC:経口避妊薬)は、発売前に行われた臨床試験で、99%の高い避妊効果が確認されています。
一方で、フリウェルの臨床試験は「月経困難症の治療に有効か」という観点で行われており、避妊効果については確認されていません。
「高い確率で妊娠を防げる」とは言い切れないため、国内では、フリウェルを避妊用ピルとして使用できないのです。
フリウェルの避妊効果はいつから?
生理の初日から飲み始めた場合、フリウェルの避妊効果はピルの服用を開始した日から期待できます。
一方で、生理の初日以外に飲み始めた場合、効果が現れるのは1週間連続でピルを飲んだあとからです。
また、生理痛やイライラ感など、生理に伴う不調が緩和するまでには、1か月ほどかかります。
▼フリウェルの効果が現れる時期
避妊 | 【生理初日から服用】 飲み始めた日から 【その他の期間に服用】 1週間ピルを飲んだあとから |
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生理中の不調を 改善する効果 | 服用開始から約1か月後 |
※フリウェルは避妊用のピルではないため、服用中もコンドームなどの避妊法を併用しましょう。
妊娠が不安ならフリウェルから避妊用ピルへの変更がおすすめ
妊娠が不安な方は、フリウェルではなく、避妊用の低用量ピルを服用しましょう。
フリウェルの避妊効果は、あくまで理屈上見込めるものであり、確実に妊娠が防げるとは言い切れません。
さまざまな研究で避妊効果が確認されている低用量ピルなら、99%以上の確率で妊娠を防げます。

なお、避妊用の低用量ピルは産婦人科や婦人科だけでなく、「オンライン診療」で処方を受けることも可能です。
オンライン診療では、産婦人科や婦人科の医師による診察が、電話やビデオ通話で受けられます。
診察後にはピルが自宅に郵送されるので、通院の手間なくピルの服用が続けられますよ。
【フリウェルの種類】LD/ULDの避妊効果以外の違い
フリウェルには、低用量ピルの「フリウェルLD」と、超低用量ピルの「フリウェルULD」の2種類があります。
ピルはホルモンの量によって分類されており、ホルモンの量が30μg未満のピルを超低用量ピル、50μg未満のピルを低用量ピルと呼びます。
どちらのピルも、生理中の腹痛・頭痛・だるさ・イライラ感などを緩和するために使われる医薬品です。
フリウェルLD | フリウェルULD | |
---|---|---|
分類 | 低用量ピル | 超低用量ピル |
ホルモン | 50μg未満 | 30μg未満 |
使用目的 | 月経困難症 の緩和 | 月経困難症 の緩和 |
主な 副作用 | 吐き気 (17.9%) 頭痛 (15.5%) | 不正出血 (81.1%) |
値段※ | 約500円 | 約500円 |
※3割負担の目安/フリウェルの処方時には別途手数料がかかります
どちらも似たような効果が期待できますが、起こりやすい副作用や価格がやや異なります。
効果(月経困難症/PMSの改善)
フリウェルLDとフリウェルULDには、ともに月経困難症やPMS(月経前症候群)を緩和する効果が期待できます。
月経困難症とは、生理の直前から生理中に起こる、月経痛や吐き気、疲労感、便秘、下痢、イライラ感などの症状の総称です。
月経困難症のような症状が生理の前に起こる場合は、PMS(月経前症候群)と診断されます。
月経困難症 | 生理直前〜生理中に症状が出る |
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PMS(月経前症候群) | 生理前に症状が出て、生理がくると治まる |
月経困難症とPMSは、併発するケースもあります。
月経困難症やPMSが起こるのは、生理の経血を排出する際に産生されるホルモン「プロスタグランジン」が原因の1つとされます。
プロスタグランジンが産生されると子宮が強く収縮するため、下腹部に痛みが生じるのです。
フリウェルは排卵を一時的に止めることで子宮内膜の増殖を抑制し、プロスタグランジンの産生量を減らします。

副作用(頭痛や吐き気・不正出血など)
フリウェルLD・フリウェルULDの主な副作用は、頭痛・吐き気・不正出血・血栓症などで、その発現率に違いがあります。
▼主な副作用の発現率
フリウェルLD | フリウェルULD | |
---|---|---|
不正出血 | 60.0% | 81.1% |
希発月経※ | 14.1% | 35.8% |
吐き気 | 17.9% | 17.9% |
頭痛 | 15.5% | 15.5% |
安全性を確認するために行われた研究では、フリウェル服用中の女性80%に副作用が起こったと報告※されています。
副作用はフリウェルの服用を始めた直後に起こりやすく、服用を続けると徐々に落ち着くことがほとんどです。
※医薬品インタビューフォーム/希発月経:月経周期が39日以上になること
料金(保険適用で月額〜1,000円)
フリウェルLDとフリウェルULDは、どちらも保険適用の対象に含まれるピルで、月額は1,000円以下です。
避妊用の低用量ピルの相場が月額2,000〜3,000円であることを踏まえると、フリウェルの価格は安いと言えます。
▼フリウェル目安の料金※3割負担
フリウェルLD | 約500円 |
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フリウェルULD | 約500円 |
なお、保険適用で薬の処方を受ける場合には、調剤手数料などの別途費用がかかります。
フリウェルの飲み方
フリウェルLDとフリウェルULDは、1日1錠を毎日決まった時間に服用しましょう。
生理中に飲み始め、1シート(21日分)を飲み切ったら、7日間の休薬期間を設けます。
休薬期間とは、ピルの服用を一時的に休止する期間です。
▼フリウェルの服用方法
服用する期間 | 生理期間から21日間 |
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服用しない期間 (休薬期間) | 7日間 |
休薬期間には、生理のような出血が起こります。
ピルを休薬して出血を起こすのは、妊娠していないことの確認をしたり、卵巣の働きを正常に保ったりするためです。
フリウェルの飲み始め生理1~5日目
フリウェルは、生理の1〜5日目に飲み始めます。
生理中に飲み始めるのは、ピルの服用前に「妊娠していないこと」を確認する必要があるためです。
生理は妊娠していないことの証明になるため、基本的には、生理がきてからでないとピルの服用が始められません。
2シート目からは生理が終わっているかに関わらず、7日の休薬期間が終わったら、ピルを再開します。
フリウェルを飲み忘れたら追加で1錠を服用
フリウェルを飲み忘れたら、気づいた時点で前日分の1錠を服用します。
また、いつもフリウェルを飲んでいる時刻になったら、普段どおり1錠を服用しましょう。
飲み忘れがある場合には、1日2錠のピルを飲むことになります。
万一前日の飲み忘れに気付いた場合、直ちに飲み忘れた 1錠を服用し、さらに当日の分も通常どおりに 1錠を服用してください。すなわちその日は 2錠服用することになります。2日以上連続して飲み忘れた場合は気付いた時点で前日分の 1錠を服用し、さらに当日の分も通常どおりに 1錠を服用します。その後は当初の服薬スケジュールどおり服用を継続します。
引用:くすりのしおり
なお、1日に服用できるのは合計2錠までです。
2日以上の飲み忘れがある場合でも、1日に3錠以上服用することはできません。
フリウェルの飲み忘れで生理きたら服用を中止
フリウェルを3日以上飲み忘れると、休薬期間になっていなくても、生理のような出血が起こります。
もしも、出血がおこってしまった場合は、シートを飲み切る前でも休薬期間に入りましょう。
7日ほど休薬したら、服用中のシートは破棄し、新しいシートでフリウェルの服用を再開してください。
※処方を受けている病院で別の説明があった場合、医師の指示に従って対応してください。
フリウェル服用者が知っておきたい注意点

フリウェルには、飲み方や副作用など服用前に知っておきたい注意点があります。
フリウェルLD/ULDには飲み合わせの悪い薬がある
フリウェルLDとフリウェルULDには、飲み合わせの悪い薬があるため、服用中の薬がある場合は医師に申告が必要です。
飲み合わせの悪い薬を一緒に服用すると、ピルの作用が弱まったり、副作用が強く出てしまったりします。
なお、飲み合わせが悪いのは、喘息治療薬「テオフィリン」、胃薬の「オメプラゾール」などの薬です。
- ステロイドなどの免疫抑制剤
- 一部の抗生物質
- 一部の抗うつ剤
- テオフィリン
- オメプラゾール
- てんかん薬
- 結核薬など
フリウェル服用中は副作用で「生理こない」ことがある
フリウェルの服用中に、「希発月経」の副作用が起こると、休薬期間の生理がこない場合があります。
希発月経とは、月経周期が39日以上になり、生理の頻度が減ってしまうことです。
フリウェルLD(低用量ピル)よりも、フリウェルULD(超低用量ピル)で起こりやすく、約3割の方が症状を経験します。
▼副作用(希発月経)の割合
フリウェルLD | 14.1% |
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フリウェルULD | 35.8% |
フリウェルの飲み始めは高い確率で不正出血が起こる
フリウェルの飲み始めには、高い確率で副作用の不正出血が起こります。
不正出血が起こるのは、フリウェルの服用により、一時的にホルモンバランスが乱れるためです。
▼フリウェル服用で不正出血が起こる確率
フリウェルLD | 60.0% |
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フリウェルULD | 81.1% |
不正出血はフリウェルの服用を継続すると、自然に治まります。
もしも、出血が2週間ほど続く場合や出血量が多い場合は、貧血になる可能性があるので、産婦人科や婦人科で相談しましょう。
病院へ行けば、医師が様子見をするべきか・ピルを変えるべきかの判断をしてくれますよ。
フリウェルULD/LDの避妊効果に関するQ&A
フリウェル配合錠LD/ULDあすかとモチダ、トーワの違いは?
フリウェル配合錠LD/ULDは、「あすか」「モチダ」「トーワ」などさまざまなメーカーで製造されています。
メーカー名が違っても、期待できる効果や副作用に違いはありません。
- あすか
- モチダ
- トーワ
- サワイ
フリウェルULD服用中に妊娠した人はいる?
フリウェルULDを服用していても、妊娠することはあります。
妊娠してしまうのは、薬の効き方には個人差があり、中には服用中に排卵が再開してしまうことがあるためです。
妊娠が不安なら、排卵抑制の作用が強い「避妊用ピル」を使うか、コンドームを併用しましょう。
【知恵袋】フリウェルには避妊効果がない?ある?
フリウェルLD(低用量ピル)には排卵を止める作用があるため、理論上は避妊効果が期待できます。
ただし、飲み忘れが続いたり、飲む時間がバラバラだったりすると、排卵が再開し妊娠してしまうことも。
また、超低用量ピルのフリウェルULDにも排卵を止める作用がありますが、作用が弱く、排卵が起こってしまう可能性があります。
フリウェルの休薬期間中に生理がこない理由は?
フリウェルの休薬期間に生理がこない原因には、妊娠・副作用・ストレスなどが挙げられます。
前回の生理よりあとに性交渉があった場合、まずは妊娠の可能性を疑い、休薬期間明けに妊娠検査を行いましょう。
性行為がなく、妊娠の可能性が0の場合は、ピル処方を受けている病院の医師に相談してください。
▼生理がこない原因
妊娠 | フリウェルの服用中には、わずかですが妊娠する可能性があります。 |
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ストレス | ストレスでホルモンバランスが乱れると、一時的に生理が止まってしまうことがあります。 |
副作用 | フリウェルの副作用「希発月経」が起こると、生理が止まることがあります。 |
その他 | フリウェルの作用で「子宮内膜」の増殖が抑えられると、出血量が減ったり、生理が止まったりすることがあります。 |
フリウェルULD/LD服用するとニキビは悪化するの?改善するの?
フリウェルLDとフリウェルULDは、服用すると副作用でニキビが増えることがあります。
ニキビが増えてしまうのは、ピルの服用により一時的にホルモンバランスが乱れるためです。
フリウェルを2〜3か月ほど飲み続けてホルモンバランスが安定すれば、ニキビの副作用は徐々に落ち着きます。
フリウェルが買える通販サイトやオンライン診療は?
フリウェルは、「エニピル」「東京オンラインクリニック」などのオンライン診療でも処方を受けられます。
オンライン診療は、電話やビデオ通話での診察を受けると、自宅にピルを郵送してもらえるサービスです。
フリウェルの処方前には、電話やビデオ通話での診察が必要なため、Amazonや楽天市場などの通販サイトでは販売されていません。
▼フリウェルのオンライン診療
エニピル | フリウェルLD 3,663円/1シート |
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メデリピル | フリウェルULD 4,180円/1シート |
クリニックフォア | フリウェルULD 3,039〜7,150円/1シート |
※医師の判断によってはお薬を処方できない場合があります。※税込み/自由診療
東京オンラインクリニックなど一部のクリニックでは、初診からオンライン診療で保険適用が可能です。
ただし、フリウェルの保険適用には条件があるため、利用前には各クリニックの公式サイトを確認しましょう。
